「選択肢の多い治療法」患者様の生活を考慮し、負担の少ない治療法をおすすめしています。
  • 健康のために
  • 検診
  • 治療


子宮筋腫治療

子宮筋腫はどんな病気?

子宮筋腫とは、女性の “子宮” に発生する “しこり”です。良性の腫瘍で、癌ではありません。成人女性の4人に1人は持っています。そのうちの10~15%の方に症状が見られます。症状は人によって異なります。月経時の出血量が多い、ひどい生理痛、貧血になりやすい、腰痛、頻尿、便秘などの症状が多いようです。また、不妊症や流産の原因にもなります。
日常生活に支障がある場合には、これまで、ホルモン療法や手術療法が施行されてきました。
そして、最近では子宮動脈塞栓術も子宮筋腫の治療の1つとして行われるようになってきました。

子宮動脈塞栓術とは、どんな治療なの?

右大腿の付け根にある太い動脈から、細いチューブ(カテーテル)を挿入し、子宮筋腫を栄養する血管を塞いでしまうのです。子宮筋腫に血液が流れなくなると、筋腫は時間をかけて小さくなります。そして、9割の方で、子宮筋腫の症状がなくなります。手術とは異なり、おなかに傷は残りません。
治療にかかる時間は1時間程度で、入院期間は最短で3日です。退院後は、すぐに入浴もできます。治療後の社会復帰に要する期間は、個人差もありますが治療後一週間程度で済みます。

子宮動脈塞栓術の実際

子宮動脈塞栓術1990年代初めにフランスで始まったこの治療は、国内では1997年頃より始められ、最近注目されています。
右足の付け根に局所麻酔をして、3mmの皮膚切開を行います。この奥には、太い血管があり、この血管に細い管(カテーテル)を挿入し、子宮筋腫に血液を送る血管(子宮動脈)まで進めます。ここから、血管を塞ぐ物質を注入して治療します。(血管を塞ぐ物質は、1mm径の細かいスポンジ状の粒子です。)子宮動脈は右と左に1本ずつあります。その両方を塞ぎます。子宮筋腫に血液が流れなくなれば終了です。
カテーテルを抜去し、挿入部位を10分間ほど圧迫して包帯をします。治療後、一晩ベッド上で安静にしていただきます。翌朝、包帯をとり除き治療はすべて終了です。

治療効果は?

子宮筋腫による症状は、85~90%以上の女性で改善されます。
筋腫は、もとの大きさの60~30%ぐらいまで小さくなります。
この治療を受けられた患者さまの90%以上の方が、この治療に満足であったと答えられています。

副作用・合併症について

治療直後から、下腹部痛が出現します。治療開始前から、強力な鎮痛剤で対応します。(これは、治療によって子宮筋腫が死滅していくために起きる痛みです。)その後、痛みは徐々に軽減しますが、発熱、嘔気、全身倦怠感、食欲不振が1週間前後続きます。個人差があります。しかし、消炎・鎮痛剤の飲み薬で徐々に改善します。
生理不順、帯下が見られますが、これらも一時的で特別な処置は必要ありません。
治療後1%程度に感染を起こすことがあり、まれに子宮全摘術が必要になることがあります。治療後卵巣の働きが悪くなることが数%あります。
特に45歳以上の方で多いと言われています。

子宮動脈塞栓術が対象となる方は

子宮筋腫に伴う症状があり、薬で改善が見られない。
子宮筋腫の手術を希望しない。
妊娠中ではなく、また将来にも出産を希望しない。
ヨード造影剤*過敏症ではない。
※ヨード造影剤とは、CT検査、血管撮影、尿路造影の際に使用される注射薬です。以前に、ヨード造影剤の注射を受けて、副作用が出現したことがある方は申し出てください。

この治療法は、現在、保険診療で受けることができます。

この治療は、産科・婦人科舘出張佐藤病院と高崎中央病院放射線科の連携と協力のもとで行なわれます。

治療のスケジュール

佐藤病院にて、診察・説明と手術の約2週間前に術前検査(血液検査、レントゲン検査、心電図など)を受けていただきます。
手術日を決定し、入院時に高崎中央病院に行っていただきます。(あらかじめ放射線科担当医との面談がご希望の方はお申し出ください。)入院期間は2泊3日(前日入院、翌日退院)ですが、発熱や腹痛がある場合には退院を延期することもあります。また、異常が認められた場合には再度手術が必要となることがあります。
子宮動脈塞栓術は、高崎中央病院の放射線科で受けていただきます。その後の経過観察は佐藤病院にて行います。

退院後に佐藤病院の産婦人科医の診察を受けていただきます。1週間程度の下腹部の疼痛と違和感が見られます。痛み止めと感染防止の抗生物質が処方されます。副作用が強い場合は、治療と経過観察のために入院となる場合がありますが、その場合は、保険診療となります。退院1週間後に、佐藤病院を受診していただきます。


相談コーナー