やせていることは美しいこと? 「やせ」のリスクとは
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フランスではやせすぎモデルの起用禁止!?
世界のトップブランドが軒を連ねるフランスで、ファッション界を騒がせたニュースがありました。今年5月にBMI値が一定基準以下のモデル起用を制限する法案が施行されたのです。これを受けて、高級ブランドルイ・ヴィトンを有するLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)などが、やせすぎのモデルを起用しない方針を発表しました。
フランス通信社の報道によれば、この法案では、国内で活動するモデルに対し体格指数(BMI)が一定基準以下でないことと、健康であることを証明する医師の診断書の提出が義務づけられています。この基準を満たさないモデルを起用したモデル事務所や雇用者には、最高で6か月以下の禁固刑もしくは、7万5000ユーロ(約990万円)の罰金が科せられます。この法律が施行された背景には、近年フランス国内で増えている拒食症の女性たちや若い女性たちが持つ「やせている=美しい」という価値観を改善し健康被害を防ぐ目的があるそうです。
女性の5人に1人が“やせている”の日本の現状
やせていることこそ美しいという風潮は、日本にもみられます。また、厚生労働省が行った国民健康・栄養調査でも、20代の女性の20.7%が、BMI値18.5%未満の「やせ」であると報告されています。その割合は女性の5人に1人というものです。
厚生労働省 平成28年「国民健康・栄養調査」より
では、本当にやせていることは美しいことなのでしょうか? BMI値18.5%未満、体脂肪率20%以下の「やせ」の女性は、美肌に必要な要素が低いとの調査結果が出ています。私たちの体に必要な三大栄養素は、タンパク質、脂肪、炭水化物ですが、ダイエットによって脂肪を極端に減らすと、女性ホルモンをつくるコレステロールが減少し、肌のハリやつやを生むのに必要なビタミンAの吸収を妨げます。こうした要素が減ると、肌のくすみ、髪のつやもなくなるなど、美しくなるためだったはずのダイエットの結果、かえって老けて見えてしまうということにもなりかねません。
何らかの栄養素の摂取を過剰に制限するようなダイエットでは、健康を守るために必要なカロリーまで不足してしまうことになります。美しく健康な体を作るためには、過度な食事制限で体重を落とすのではなく、3食でバランスよく栄養を摂ることと適度な運動を心がけることが大切です。
「やせ」は妊娠にも影響する
「やせ」には他にもリスクがあります。「やせ」の女性は月経不順や、冷えやむくみなどの症状を抱える人が多く見られます。こうした不調は将来的な妊娠出産のリスクにもなります。また、やせの女性は低出生体重児(2500g未満で生まれる赤ちゃんのこと)を生む割合が高く、生まれてきた低体重出生児は将来成人病のリスクが高くなることもわかってきています。
このように行き過ぎたやせは、女性の生涯を通してリスクであり、プレコンセプションケアの観点からも健全な状態とはいいがたいものです。ただやみくもに体重を落とすのではなく、バランスのよい食生活と適度な運動こそが美しい女性を作る秘訣といえそうです。