無痛分娩

公開日 / 2025年1月6日

最終更新日 / 2025年1月14日

Epidural Birth

無痛分娩とは、麻酔(当院では、硬膜外麻酔)を使って、陣痛を和らげながら行う出産方法です。下半身の痛みが軽減されるため、リラックスしてお産に臨むことができます。また、産後の育児に向けて体力を温存することもできます。
一方で、痛みの軽減によって分娩が長引き、吸引・鉗子分娩になったり、産婦さんに分娩後の頭痛や発熱などの副作用が起こることがあります。そのため、安全上の理由から、夜間や休日には無痛分娩が行えない場合もあります。

無痛分娩中の制限、副作用、合併症の詳細は下記をご覧ください。

無痛分娩(動画)

当院の無痛分娩について①

当院の無痛分娩について②

無痛分娩の説明書(PDF)

麻酔方法

硬膜外麻酔を注入する際には、膝を抱えた姿勢で腰の骨と骨の間に硬膜外カテーテルという細い管を入れます。当院では、薬の量を正確に調節することができる、「自己調節鎮痛法(PCA装置)」を使用しています。この方法では、痛みが辛い時に妊婦さん自身がボタンを押し、薬を追加することができます。なお、安全のために追加できる薬の量と回数は制限されています。麻酔薬の効果には個人差があるため、効果が認められない場合は薬の量や内容を変更し対応します。硬膜外麻酔では意識がなくなることはありません。

分娩時期

無痛分娩には、陣痛が自然に発来してから行う方法と、計画分娩で行う方法があります。

自然に陣痛が発来

陣痛が来たら入院します。分娩の進行状況を確認し、ある程度進行してきたら、硬膜外麻酔を行います。分娩の進行を確認するのは、あまり早くから麻酔を行うと、陣痛が弱くなったり、なくなってしまうことがあるためです。その場合は、子宮収縮薬(子宮の収縮を促し、陣痛を起こす薬)を使用することがあります。

計画無痛分娩

妊娠38週以降に出産準備が整う時期と、産婦さんが希望する日を合わせて、分娩日を決めます。入院後は、子宮収縮薬で陣痛を起こして分娩を進めてから、硬膜外麻酔を行います。安全上の理由から夜間・休日などは、必ずしもご希望に添えない(無痛分娩が出来ない)場合もありますのでご了承下さい。

無痛分娩の費用

普通分娩の途中から、無痛分娩に切り替えることも可能です。希望される場合は、分娩室スタッフにお申し出ください。

無痛分娩に関するよくある質問

Q.無痛分娩を検討しています。いつ医師や助産師さんに伝えたらいいですか?

A.28〜29週の頃の助産師外来で、まず助産師に伝えて下さい。動画1動画2を視聴し、医師からの説明を聞いた上で、無痛分娩を希望する場合は、36週の妊婦健診までにお伝えください。

Q.自然分娩の途中でも、無痛分娩に切り替えることはできますか?

A.夜間・休日以外で事前に検査を行った場合は、できる限り対応させていただきます。痛みで体が動いてしまうと、麻酔針の挿入時に危険が伴います。安全のため、挿入の体勢が保てる段階で希望をお伝えください。

Q.里帰り出産で無痛分娩を希望しているのですが、いつまでに受診した方がいいですか?

A.里帰り期間と一緒で大丈夫です。初診時にご希望をお伝えください。

Q.無痛分娩中でも食事は食べられますか?

A.硬膜外麻酔を開始すると食事は基本的には食べられません。お産の進み具合によっては、一時的に麻酔薬の使用を中止し、食べられることもあります。

Q.計画分娩で生まれなかったらどうなりますか?

A.一度帰宅し、自然陣痛の発来を待ちます。自然陣痛の発来後に再び入院し、分娩の進行に伴い無痛分娩の処置を行います。ただし、夜間や休日の場合、安全のため無痛分娩が行えない場合があります。

Q.麻酔はお産にどのように影響しますか?

A.痛みは緩和します。同時に、お産の進みが緩やかになることがあります。その場合は、子宮収縮剤を使用してお産を進めていきます。

Q.無痛分娩中はお手洗いに行けますか?

A.麻酔を使用中は転倒の可能性があるため、お手洗いに行くことはできません。安全のため、カテーテルで導尿します。

無痛分娩診療体制

2018年3月に厚生労働省より取りまとめられた「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」に基づき、無痛分娩診療体制に関する詳細をまとめています。

無痛分娩関係学会・団体連絡協議会「無痛分娩の診療体制に関する情報公開」(PDF)

無痛分娩の説明文書_2024年7月改訂(PDF)

無痛分娩マニュアル_2024年11月改訂(PDF)

産婦人科常勤医師 6名 産婦人科非常勤医師 19名
麻酔科常勤医師 1名 麻酔科非常勤医師 3名(2025年1月現在)

分娩件数

2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024
分娩件数 1449 1288 1462 1521 1524 1487 1356
非無痛分娩件数 1047 864 950 897 848 809 705
無痛分娩件数 74 150 189 313 382 363 340
帝王切開 328 274 323 311 304 315 311
予定帝王切開 211 165 195 172 156 170 160

無痛分娩に関する設備及び医療機器の配備状況

母体救急蘇生

新生児救急蘇生

産婦人科医8名、小児科医1名と助産師・看護師50名がNCPR受講済

重症症例搬送

重症母体搬送先

群馬大学医学部附属病院 前橋赤十字病院 高崎総合医療センター等

重症小児搬送先

群馬県立小児医療センター 高崎総合医療センター等

搬送方法 救急車

危機対応シミュレーション実施

無痛分娩母体から出生した胎児のNCPRのシュミレーション
最終実施日:2024年12月14日

無痛分娩麻酔管理者

2025年1月17日更新