100万人割れ 子どもの出生数 産みたい時に産める自分であるために
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厚労省はこの6月、人口動態統計の結果を発表しました。2016年に国内で生まれた子どもの数は97万6976人。1899年に調査を開始して以来はじめて、出生数が100万人を割り込んだのです。一人の女性が産む子どもの数も平均1.44人と2年ぶりの減少となりました。いまや子どもの数よりもペットの数の方が多いと言われる日本、少子高齢化の問題が益々深刻化することが懸念されています。
知っているようで知らない
出産と年齢の関係
群馬県の人口増加率も12年連続で減少、子どもの出生数を見ると、2014年には15000人を割りはじめ、2015年は14874人、2016年には14302人。専門家の間では少子化の一因として、晩婚化の影響がたびたび挙げられています。なぜ、晩婚化が少子化に影響するのでしょうか。それには「卵子の老化」が関係するとも言われます。妊娠は健康な卵子がなければ成り立ちません。ところがこの卵子は年齢とともに老化すると言うのです。卵子の元となる原子卵胞は、生まれたつき女性の体内に備わっているものです。生まれた時には約200万個の原子卵胞を抱えていますが、思春期になると約20万~30万個に減少、その後はひと月あたり約1000個の原子卵胞を失っていくというのが定説です。
卵子細胞の減少は妊娠に影響します。25歳から29歳では8.9%と低い数値の不妊率も、
35歳から39歳では約30%、40歳から44歳では約64%にまで上がります。このように、年齢と不妊率の関係は明らかになりつつありますが、女性の社会進出が進んだ現代では、産み時の選択に迷いが生じる女性が多いのも事実です。
いつか子どもが欲しいなら
「プレコンセプションケア」を
医学的には妊娠に適した年齢は35歳ぐらいまでと言われており、妊娠を望むのならば、おそくとも40歳までに妊娠するのが理想的です。しかし、これはキャリアアップを目指して働く女性にとってはさまざまな壁をはらんでいます。20代はまだ駆け出し、がむしゃらに働きたい人も多く、つづく30代はやっと独り立ちできるようになり、仕事の面白さに目覚める頃。ここから40代といえば、“働き盛り”と言われる年齢。「産休・育休を取っている場合ではない」とい方も多いのです。
妊娠適齢期と仕事が面白くなる時期が見事にかぶっているため、キャリアを取るか、出産を取るかの選択に迫られてしまいます。キャリアの継続を考える場合、もし将来的に子供を産みたいという希望があるのなら、キャリアプランと同じように、早めにバースプランを立てることもおすすめです。長期的な視点を持てば出産のタイミングを見極めることも可能でしょう。例えば、仕事もある程度のポジションになれば、自分の裁量で仕事量を調節できることもあります。産育休のタイミングを昇進の計画にはじめから盛りこんでおけば、ポジションのキープと出産の両方を手にすることも不可能ではありません。自分の体がいったいいつまで妊娠できるのか、最近では、卵巣内に残る卵子の目安が分かる検査もありますから、計画を立てる時には産婦人科で相談してみるのもいいでしょう。
また、仕事が忙しい時にはストレスがかかりやすいもの。女性の体は思ったよりもデリケートにできています。生理不順や生理痛など、不調があるのに我慢していると、妊娠に大きな影響を及ぼすこともあります。妊娠前から子どもを授かる体づくりを心がけていきましょう。近年は日本でも「プレコンセプションケア」がはじまっています。これは、妊娠を希望する女性、カップルが、妊娠前から健康な生活習慣を身に着けるためのケアのこと。産婦人科では「プレコンセプションケア」の講座を開くところも出始めました。専門家から直接話がきけるこうした機会を有効に活用して、「産みたい時に産める体」を守っていきたいですね。
参考資料
「平成28年 群馬県移動人口調査結果」(29年1月発表)
http://toukei.pref.gunma.jp/idj/data/idj2016.pdf
日本産科婦人科学会